本研究の目標は、優れた発電効率を有する可動物体型の波力発電装置を開発することである。波力発電装置については多くの装置が考案されているが、本研究ではその中から、室蘭工大の近藤らによって研究が行なわれた着底式振り子式波力発電装置を基本的な構造とし、この装置を浮体とした浮体型振り子式波力発電装置わ対象とする。特に浮体型振り子式波力発電装置の一次変換效率に着目し、この効率を向上させるための手法を実験的にまた数値解析的に明らかにすることを目的とする。また、波力発電装置の性能評価に重要な要素となる、造波試験における入射波の計測に対して、その計測精度を向上できる解析手法の開発も目的とする。 平成21年度においては、平成20年度製作し供試体模型の2次変換装置の改良を行った。具体的には回転数の増幅比を14.4倍から28.8倍にして。また、回転方向を一定方向とするためのラチェット機構を備えた発電ユニットも製作した。これらの改良により、最大変換効率を4%から20%に向上させることができた。さらに平成20年度に実験において、発電機負荷による浮体動揺への影響が小さいことを明らかにできたが、平成21年度には振り子板そのものを取り除いた実験を行い、振り子板の有無さえも浮体動揺への影響が小さいことが示された。また、19年度から開発中の解析プログラムについては、実験値との妥当性確認作業ができた。次年度においては開発した解析プログラムを用いて最適化計算を実施する予定である。
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