本研究では、近軸部分において、平行に入射する音線に対し、球面収差とコマ収差をほぼ完全に補正できる、アプラナート音響レンズの設計を、光学レンズの設計に用いられる光線追跡法を用いて行った。また、実際に製作したさまざまなアプラナート音響レンズを用いて水槽実験を行い、集束特性の比較を行った レンズの大口径化にともなって、重量の増加、内部減衰の増加が予想され、これらの問題を回避する一つの方法として、フレネルレンズの採用が挙げられる。 23年度は、球面収差、コマ収差をともに軽減できる両面非球面の、直径200mm、Fナンバー2のアプラナート・フレネルレンズの設計・製作を行い、同じようにして、水槽で集束特性を測定した。レンズはシリコンゴムで製作したので、柔らかく自立することは難しい。そこで、薄いアクリル板を付けて補強した。 結果は、従来のアプラナートレンズ、双曲面フレネル・レンズ等の集束特性と比較検討し、アプラナート・フレネルレンズの優位性を示した。 さらに、水温変化に対する集束特性の変化の少ない音響反射鏡に注目し研究を進めた。アプラナート音響レンズと同じく、球面収差とコマ収差を補正するためには2面の非球面が必要である。そこで裏面反射鏡であるシュトラウベル反射鏡を改良し、非球面屈折面と非球面反射面をもつアプラナート・シュトラウベル反射鏡を設計し、数値計算によって水温変化に対する優位性を示した。
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