研究概要 |
200℃以下の廃熱を利用する水吸着式ヒートポンプシステムに用いる吸着材の熱交換能力が、含水率に依存することは確認されている。1価の陽イオンを多価の陽イオンで交換すると、陽イオン数が減り、空隙内に水の入る余地が増え、含水量が増加する。そこで、A型ゼオライトNa_<2.1>(Al_<2.0>Si_<2.0>)O_8・4.3H_2O(含水率:20.8%)をLa^<3+>交換した(条件:0.01,0.1M LaCl_3水溶液、40℃、3時間浸)。交換率17および22.6%のLa^<3+>交換体を得た。0.01および0.1Mで交換したLa^<3+>交換体の含水率は22.6および23%を示した。DTG曲線よりLa^<3+>交換体において180℃付近に吸熱ピークを示し、脱水温度はほとんど変化がなかった。A型ゼオライトより含水率は約10%向上したが、脱水温度はほとんど変化がなかった。 GTS型チタノシリケートNa_4[(TiO)_4(SiO_4)_3]・y H_2O(以下、Na-GTS)を、水熱法により合成した(条件:仕込み組成比TiO_2/SiO_2=0.32,A_2O/TiO_3=5.62、100℃、24時間)。得られた単相のNa-GTSに1.0M塩化物水溶液を加え室温で1時間浸とうした。この操作を2回繰り返した後、固液分離-洗浄し、Mg^<2+>,Ca^<2+>,Sr^<2+>,Ba^<2+>,Co^<2+>によるイオン交換体を得た。EDX分析による交換率は、Co^<2+>が約90%,Sr^<2+>が約70%であった。陽イオン交換体の格子定数は、金属元素のイオン半径が大きくなると格子定数は短くなる傾向が見られた(格子定数,Å:Co^<2+>;7.881,Mg^<2+>;7.846,Ca^<2+>;7.326,Sr^<2+>;7.8197,Ba^<2+>;7.752)。陽イオン交換体のXRDパターンより、原子番号の大きな金属イオンで置換するほど、100ピークの強度比は減少し、110,111,200および220ピークの強度比は増加する傾向が見られた。しかし、110ピークの強度比については、Ba^<2+>交換体のみ減少した。K型GTSのKサイトと同じ位置(8員環の中心)に交換性陽イオンが占有しているとして計算したX線回折強度と比較した。100,200および220ピークの強度比については、実測値と計算値の傾向はほぼ一致したが、110ピークの強度比については、逆の傾向を示した。TG-DTAより求めた含水率は、原子番号の大きな金属イオンで置換するほど、小さくなる傾向を示した(含水率,%:Mg^<2+>;27,Ca^<2+>;25,Co^<2+>;26.6,Sr^<2+>;24,Ba^<2+>;18)。また、脱水温度は原子番号が大きくなると若干低下し、Co^<2+>交換体では約30℃の低下がみられた。これより、Na-GTSをCo交換することにより脱水温度を下げる効果があることがわかった。
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