研究概要 |
水熱合成により得られた単相のNa-GTS1.0g(1.37×10^<-3>mol)に、濃度C_<Co>=0.025~1.0MのCoCl2水溶液25mL加え、40℃で24時間振とうした後、固液分離-洗浄した。上澄み溶液のEDTA滴定の結果よりCo交換率x=(0.025 C_<Co>-n_<Co>)/2n_<GTS>を求めた。0.025C_<co>はCoCl_2水溶液25mLの物質量、n_<Co>は上澄み溶液中に残存するCo^<2+>の物質量、n_<GTS>はNa-GTSの物質量である。2Co^<2+>+Na_4Ti_4Si_3O_<16>→Co_2Ti_4Si_3O_<16>+4Na^+という交換反応が起こった時、x=1.0となる。部分的なイオン交換生成物の組成はNa_<4(1-x)>Co_<2x>Ti_4Si_3O_<16>と表される。C_<Co>=0.5Mの時、TEM-EDX分析によるCo交換率xは約0.9であり、およそ10%のNaが沈殿中に残存していた。また沈殿をHFに溶解して、原子吸光分析法により組成分析を行った結果も、TEM-EDX分析の結果にほぼ対応した。Na型GTSのXRDパターンには擬立方晶系の指数を付した。Na型GTSの回折パターンに比べ、Co交換体の回折パターンのピーク位置は低角度側にシフトし、211ピークなどの幅が狭くなった。但し、C_<Co>=0.5Mの試料においても立方晶系のパターンとみなすことは出来なかった。菱面体晶系として求めた格子定数aはCoイオン交換により約0.6%増大した。格子定数αは90°に近づくが、約89.5°であり、交換率xの依存性は小さい。Co交換体の水の状態を検討するため,水蒸気圧14mmHg(25℃)の密閉容器内で保存した試料について、大気中でTG-DTA測定を行った。室温から300℃付近まで急激な脱水による重量の変化がみられた。交換率xの増加に伴い、含水率の増加がみられ、最大約4%増加した。DTA曲線には、70℃付近と250℃付近に大きな吸熱ピークがみられ、70℃付近のピークのC_<Co>依存性はみられないが、250℃付近のピークについてはCoイオン交換により最大約20℃の温度低下がみられた。400℃まで加熱した試料のXRDパターンは非晶質の生成を示しており、細孔内部の全ての水が脱離すると、骨格構造が非晶質化する。交換率x=O.23, 0.56, 0.88の試料0.59に、0.1MHNO_3溶液25mLを加えて処理した時、約70~90%のCoイオンが溶出した。沈殿のXRDパターンはH^+交換体に類似したピーク強度比を示した。
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