亜臨界水中で、食品廃棄物+非塩素系プラスチックから、石炭並みの高発熱量を持ち、イオウ分が少ないクリーンな複合粉末燃料を生産するための基盤技術の開発を目指した。 (1)亜臨界水による複合粉末燃料化の最適条件の決定 亜臨界水粉末燃料化装置を用いて、食品廃棄物+非塩素系廃プラスチック混合物から高発熱量の複合粉末燃料を生成するための最適処理条件を決定した。その結果、200℃、1.6MPa、反応時間30分、撹拌速度10rpm、食品廃棄物:廃プラスチック:水分調整材=10:2:5(重量比)の条件で水熱処理すると、粒径が5mm以下、発熱量が25~28MJ/kgの粉末燃料が得られ、発熱量は石炭の発熱量27MJ/kgに匹敵した。 (2)亜臨界水中での複合微粒子化のメカニズムの解明 亜臨界水中でプラスチックやバイオマスが加水分解し微粒子化する過程を直接観察するために、のぞき窓付きの亜臨界水加水分解観測装置を製作し、調整、試運転し良好に動くことを確かめた。 (3)バイオマス成分の高速乾燥に対する亜臨界水処理効果の解析 100℃で食残(含水率80wt%)を乾燥する場合、未処理の食残では3時間、水熱処理すると0.75時間で食残の水分含有量はほぼゼロになった。また光学顕微鏡により水熱処理後の食残の細胞壁を観察したところ、らせん肥厚や壁孔が破壊されて、内部の水分が蒸発されやすくなっていることがわかった。 (4)複合粉末燃料の特性評価 前処理や水熱処理の条件を変化させて粉末燃料を生産し、その粒径、粒度分布、燃焼熱、かさ密度、元素組成、含水率、灰分含有率、脱水温度等の基本物性を測定した。その結果、項目(1)で示した最適条件で粉末燃料を生産すると、高発熱量、粒径が5mm以下、粒度分布が比較的狭い粉末燃料を生産出来ることがわかった。
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