研究課題/領域番号 |
21560856
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
筒井 広明 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (20227440)
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研究分担者 |
飯尾 俊二 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (90272723)
嶋田 隆一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (40206181)
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キーワード | トロイダル磁場リップル / トカマク / α粒子 / 共鳴 / 粒子モンテカルロ / 旋回中心 / 拡散 / ポアンカレマップ |
研究概要 |
数値計算で物理モデルを検証するために、有限Larmor半径効果を調べた。 核融合で生じるα粒子のような高エネルギー荷電粒子は大きなLarmor半径(旋回半径)を持つ。また、球状トーラスのように比較的弱い磁場を使う場合もLarmor半径は大きくなる。従来は計算機能力の制限から粒子軌道に関しては旋回中心近似を用いてきたが、ITERや球状トーラスでは、旋回運動を考慮する必要が生じている。我々は粒子モンテカルロ法による計算コードを開発し、リップル拡散に与える有限Larmor半径効果を計算した。旋回中心近似の下ではトロイダル方向への歳差運動によりバナナ反射点の位置が移動し、トロイダル磁場強度のリップルと共鳴数場合、大きく拡散係数が増大することが示されている。有限Larmor半径効果を考慮しても、α粒子の無衝突軌道はあまり変化しないが、滞在時間の長いバナナ反射点付近の軌道は比較的大きく変化し、その結果、共鳴条件に差が表れた。しかし、旋回中心近似で得られた物理機構との本質的な違いは見つからず、共鳴条件のずれが拡散係数のエネルギー依存性として現れるだけである。 我々の研究成果によると、減速し共鳴条件から外れたα粒子でも拡散係数が大幅に増大する。このことからα粒子の閉じ込めを定量的に評価するには、拡散係数を評価するのに比べ、より長時間の計算が必要となる。従来の解法であるRunge-Kutta法では厳密にはエネルギー保存則が成り立たず、保存系での長時間計算を行うには不向きである。保存系の数値スキームには、Symplectic法、Symetric法などがあるが、いずれもポテンシャルエネルギーが正準運動量に依存する場合(例えば、電磁場中での荷電粒子の運動のように、力の項に速度が現れる場合)には、利用できる陽的解法は実用化されていない。ただし、Symplectic法の一つである陰的Runge-Ku誓a法、はそのような場合でも利用可能である。我々はこのスキームを使いこの解法の有効性・実用性を不した。
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