研究概要 |
高速ステレオカメラとバンドルファイバアレイを相補的に用いた固体水素ペレット溶発動態の高速3次元観測をすすめ,実験観測データの蓄積を行うとともに,観測された「ペレット溶発プラズモイドの低磁場側への間欠的な分離加速」の定量化を行い,背景プラズマの密度分布の変化として観測される大域的な粒子供給特性との関連付ける試みをした.溶発プラズモイドは,間欠的に低磁場側に加速され,数10マイクロ秒の寿命の間に平均で10cm程度(最大で20cm)移動することが観測されているが,この移動距離は観測されたペレット溶発ピーク位置と,ペレット入射直前と直後の背景プラズマ密度差から推定される実効的な粒子デポジションピーク位置の差と一致しており,分離加速された溶発プラズモイドの非拡散的輸送が,実効的な粒子供給特性を支配していることが示された.一方で,本計測は可視域の全光観測のため,溶発プラズモイドに含まれる粒子数の絶対評価はできていない,輸送される粒子数の定量評価をするためには分光等の手法を使った研究への発展が必要であることが,次のステップの課題として残った. 閉じ込め磁場構造の非一様性に起因したプラズモイドのE×Bドリフト輸送をモデル化した理論シミュレーションと実験観測との比較を行った.シミュレーションコードはトカマク装置を想定して開発されたもので,磁場配位を単純化(軸対称近似)して取り扱っているが,実験観測で得られた非拡散的輸送と同程度のドリフト速度と輸送距離が予測された.ヘリカル装置特有の磁場構造の3次元性がプラズモイド輸送に与える影響に曖昧さが残るものの,実験で観測された非拡散的輸送は磁場構造の非一様性に起因したプラズモイドのE×Bドリフト輸送で説明できると考えられる. 当初予定していた国際会議での成果発表は日程の都合が付かなかったため,査読付き学術雑誌への論文投稿をもって,成果報告を行ない,成果発表のための国際会議出席にかかわる旅費等は返上した.
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