研究課題/領域番号 |
21560873
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森山 裕丈 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90127150)
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研究分担者 |
佐々木 隆之 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60314291)
上原 章寛 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30402952)
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キーワード | マイナーアクチニド / 溶融塩 / 還元抽出法 / 溶解度 / 活量係数 |
研究概要 |
本研究では、マイナーアクチニド(MA)回収用還元抽出システムの性能評価および最適設計を目的として、いくつかの還元抽出系において多成分が共存する場合のMAや核分裂生成物(FP)の溶解度を系統的に調査・測定するとともに、並行して溶質元素の活量係数を測定し、得られた値を熱力学モデルによる計算結果と比較検討することによって、類似の系における分離係数や溶解度の値を予測する手法を開発することとしている。平成21年度には、電気化学的な手法による低融点液体金属中のランタニド元素の溶解度・活量係数の測定を行い、文献値との比較検討を進めた。その結果、ランタニド元素の種類によっては、飽和溶解度の文献値と実験値が大きく異なる場合があり、起電力法による活量係数測定においては液体金属中の溶質元素濃度を精度よく測定する必要があることなどが明らかとなった。また平成22年度には、複数の溶質元素が共存する多成分系での溶解度を測定するとともに、液体金属中の溶解度に関する文献値を用いて熱力学モデルの検討を行った。その結果、三元系のデータは二元系のデータより概して小さく、二元系金属間化合物の理想混合を仮定したモデルで説明可能であることなどを確認した。さらに平成23年度には、液体金属中の溶解度の測定を継続するとともに、従来の関連研究の成果も踏まえて還元抽出法の性能を検討した。溶解度の小さい溶質成分の濃度が高くなると固体の金属間化合物が生成し、他の成分の抽出速度にも影響を与える場合があるが、本研究の結果として、任意の液体金属中での多くの溶質元素の活量係数や溶解度とともに、複数の溶質元素が共存する多成分系での溶解度を求めることが可能となり、MAの高効率分離回収を達成するための分離係数や溶質濃度条件を示すことが可能となった。
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