研究課題/領域番号 |
21560876
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
倉田 有司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (30354773)
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研究分担者 |
鈴木 徹也 茨城大学, 工学部, 准教授 (70261740)
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キーワード | 長寿命放射性廃棄物処理 / コーティング / アルミニウム合金被覆 / 加速器駆動システム / 鉛ビスマス / 重金属冷却炉 / レーザー加熱 / 腐食・防食 |
研究概要 |
従来、純鉄試料に対して行った成果をもとに、原子炉材料として実績と照射データが豊富なSUS316オーステナイト系ステンレス鋼に対して、Al、Ti、Fe粉末を用いてシート材を作製し、レーザー加熱によりAl合金被覆を施した。16at%~64at%のAl濃度で、AlとTiを原子比で4:1とし、残をFeとしたシート材を作製し、被覆層中のAl濃度の異なるAl合金被覆材を作製した。被覆層のAl度が約14wt%を超えると、被覆層にクラックが発生した。種々の被覆条件で検討した結果、被覆層のクラック発生には、シート材のAl濃度、シート材厚さ、レーザーによる加熱及び降温速度が関係することを突き止めた。今後、クラックのない良好な均質被覆層を作るため、レーザーによる加熱、冷却条件を検討する。 鉛ビスマス腐食に関しては、H_2/H_2O比を変えたAr-H_2-H_2OあるいはAr-airをカバーガスとして、鉛ビスマス中の酸素濃度を制御する装置を整備した。この装置を用いて、550℃で、酸素濃度を10^<-6>~10^<-3>wt%に制御し、上記のAl濃度の異なるAl合金被覆を行ったSUS316に対して、3000hの腐食試験を実施した。550℃、3000hの腐食試験では、被覆のないSUS316はNi溶出によるフェライト化、Pb、Biの浸入及び粒界腐食によって、著しい腐食が起こったのに対し、Al濃度が6~8wt%のAl合金被覆材は、このような腐食は起こらず、良好な耐食性を示すことを明らかにした。Al合金被覆材では、Alを多く含む保護酸化膜が形成し、鉛ビスマス中での耐食性を保持していることがわかった。なお、Al濃度が2wt%のAl合金被覆材は、欠陥が多く、Pb、Biの浸入が起こって、十分な耐食性を示さなかった。
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