研究概要 |
SUS316へのAl合金被覆条件の最適化とAl合金被覆SUS316の鉛ビスマス中腐食試験結果については、実験結果を解析・評価して、国際シンポジウム等で発表を行い、ジャーナルに論文投稿した。 SUS316にレーザービーム加熱によってAl合金被覆を施した場合、クラックが発生する場合がある。SUS316上のAl合金被覆層のクラック形成は、Al濃度の増加に伴う硬くて脆い層の形成及び高AlのFe-Al溶接における水素割れに起因すると考察した。レーザービームを用いたSUS316へのAl合金被覆においては、クラジク発生を抑えるため、Al濃度を12wt%以下とすること、溶解不足による表面欠陥をなくすため、レーザービーム走査速度を2mm/minとすることが重要である。 高酸素濃度の550℃鉛ビスマス中における3000h腐食試験では、Al濃度が4wt%以上のAl合金被覆は、被覆なしのSUS316で認められたNi溶出、pb,Biの侵入、粒界腐食、脱粒といった激しい腐食が起こるのを防ぐ。この防食効果はAl合金被覆層の表面に形成したAl酸化物によってもたらされ、このAl酸化物は鉛ビスマス中で再生することを確認した。 9~12%Crのフェライト/マルテンサイト(F/M)鋼に対して、レーザービ』ム加熱を用いたAl合金被覆を施し、低酸素濃度の550℃鉛ビスマス中で腐食試験を実施した。低酸素濃度の鉛ビスマス中では、耐食性が優れているといわれるF/M鋼であっても、Pb,Biの侵入や粒界腐食といった鉛ビスマスによる激しい腐食が起こった。F/M鋼に対しては、まだAl合金被覆条件改良の必要性はあるが、F/M鋼においてもAl合金被覆は、被覆なしのF/M鋼で認められた激しい腐食を防いでいることがわかった。
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