研究概要 |
平成21年度には,地層内の熱の移動が熱伝導の場合の螺旋管型地中熱交換器方式による採熱量を解析する数値計算プログラムを作成した。また,作成した数値計算プログラムを用いて,螺旋管型地中熱交換器方式による採熱量について数値計算を行い,採熱量に及ぼす採熱媒体の流量の違いの影響や,循環方向の違いの効果などについて検討を行った。また,平成22年度から相変化現象を伴う問題に対しても適用できる数値計算プログラムを作成する予定であるが,その基礎的実験データを得るために,本年度はさらにU字管周りの凍結挙動について予備的実験を行った。この実験で得られたデータは,相変化現象を対象とした数値計算プログラムを作成する際に,その計算精度を検証するために必要となる。 本研究で提案している螺旋管型地中熱交換器方式によれば,伝熱面積を拡大することが困難であると指摘されてきた従来型の地中熱交換器方式の欠点をかなりの程度克服することが可能であると考えられる。さらに,地中熱交換器による採熱に伴い,水分を含んだ周囲の地層内に相変化現象(水の場合は凝固)が生じ,この現象が地中熱交換器の採熱量に大きな影響を及ぼすことが予想されるが,本研究はこのような相変化現象を伴う場合にも適用できる数値計算プログラムを作成し,螺旋管型地中熱交換器方式の採熱特性を明らかにしようとするものであり,その意義と重要性はきわめて高いと考えている。
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