研究概要 |
本研究の目的である水蒸気収着冷凍機の熱出力密度の向上を図るためには,蓄水材である固体収着材の熱交換器内への高密度充填と充填部の伝熱促進が重要となる。そこで今年度は,主に収着熱交換器内の伝熱促進を図るために,これまでに水蒸気収着能が確認された塩化カルシウムCaCl_2・高密度活性炭素繊維(HDACF)複合材と,良好な熱伝導性を有するアルミニウムAl平板との一体化について検討を行い,以下のことが明らかとなった。1)エポキシ樹脂/ポリアミド系バインダを用いることでCO_2賦活HDACF(比表面積996m^2/g)をAl平板上に固着させることができ,その後のHDACF層へのCaCl_2添着が可能である。なお,バインダ層の多孔化を目的とした炭化処理では500℃以上でHDACFがAl平板から剥離したことから,バインダ層の改質とその表面へのCaCl_2添着は困難と考えられる。2)バインダ無添加での一体化の一方法として,Al平板をHDACFで挟み込んだ状態で高温処理(Alの融点660℃以上)することでAlを溶融させ,その後徐冷して両者の一体化を試みたが,液体AlとHDACFの親和性が乏しくいずれの処理温度においてもその実現には至らなかった。3)HDACFの出発原料であるフェノール樹脂繊維およびHDACF前駆体(炭化物)は水酸化カリウムKOHによる低温薬品賦活が可能で,賦活収率はKOH/繊維重量比の影響を受ける。4)フェノール樹脂繊維層に,開口部を有するAl平板を挿入し圧縮加熱処理を施すことでAl平板一体型HDACF前駆体を調製できる。5)開口率66%のAlメッシュを,予めKOH賦活を施したHDACFで挟み込み圧縮加熱することで両者の一体化が可能である。本Alメッシュー体型HDACFはCaCl_2との複合担体となり得,その複合材は伝熱促進型の水蒸気収着材として機能すると考えられる。
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