研究概要 |
平成23年度の研究実施計画の3項目について,対応項目別に記述する. 1.複合多孔質電極の気相電極評価装置による実験実施と評価 多孔質薄膜上にインクジェット薄膜を描画する際に銀ナノインクが多孔質膜へ浸透し,所定のリード構造幅と厚さ,体積伝導率が得られない結果が得られた。そのため,電極全面に薄膜作製を行う実験を実施した。(1)Mo+白金スパッタ,(2)Mo+Agインクジェット,(3)Mo+白金スパッタ+Agインクジェットの3種類の複合多層膜を作製し,気相電極評価装置による評価を行った。(3)のMo+白金+Ag多層膜が高周波インピーダンス解析結果より高性能を示すことを明らかにした。 2.多孔質微細金属のリード構造の性能測定 多孔質膜(Mo厚さ3μm)に0.1μm以下の薄膜を多層化することにより,粒子状の多孔膜の面方向電気的接続を高める方法が有効といえる。この測定結果より,電極構造内部での物質移動の制約は現状のMo多孔質膜では小さいといえることが理解される。ヒートポンプの際の希薄蒸気を圧縮するための膜構造は,より緻密な構造が性能向上に可能性があるといえる。より緻密な膜の最適化に関する検討は今後の課題である。23年度の結果によりその方向性を明らかにすることができた。 3.ヒートポンプとしての電極部構造,Na蒸気流れ抵抗の性能解析 性能パラメータが変化した際の全体に対する性能計算を行う手法を導入した。電極内の性能パラメータは物質移動に関するGと分極抵抗に関するBをパラメータとした。Na蒸気流れ抵抗の性能解析結果より,具体的なセル構造を想定し,熱損失項を含めて性能解析とする準備が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
電極評価実験に関しては,節電による電気炉稼働を考慮して実施を計画しており,所定の結果が得られる予定である。小型セル作製に関しては,装置安全性より,電極部を作製した段階でその要素部分を先に評価することに変更する。装置作動デモの面では遅れるが,セル全体の性能の評価は電極部だけで行う方が早い結果が得られるためである。
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