研究課題/領域番号 |
21570001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
澤村 京一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (90247205)
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研究分担者 |
高野 敏行 国立遺伝学研究所, 集団遺伝学研究部門, 准教授 (90202150)
松野 健治 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (60318227)
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キーワード | ショウジョウバエ / 種分化 / 生殖的隔離 / 雑種致死 / 雑種不妊 / ヌクレオポリン / 遺伝的不和合 / 核孔複合タンパク |
研究概要 |
本研究を開始する以前に、われわれはキイロショウジョウバエのゲノムの一部をオナジショウジョウバエの遺伝子で置換した種間イントログレッションを作製した。これはホモ接合体において雌不妊を引き起こし、またオナジショウジョウバエとの雑種雄は致死となる(ふつう雑種雄は雑種致死救済遺伝子によって救済されるが、この遺伝子のために救済できなくなる)。つまり、このイントログレッションは劣性の雌不妊および致死の原因遺伝子を含んでいると考えられる。組換えによるマッピングおよび欠失染色体やトランスポゾン挿入変異体との相補性検定により、その有力候補としてヌクレオポリンNup160があげられた。本年度はキイロショウジョウバエのNup160遺伝子に関して形質転換体を作製し、交配によりイントログレッションと組み合わせた。イントログレッションのホモ接合体では雌の妊性が回復し、イントログレッションを持った雑種雄が雑種致死救済遺伝子によって救済されたことから、この仮説が正しいことが証明された。Nup160が雑種致死の原因遺伝子であることはすでに国外で報告があるが(Tang & Presgraves (2009) Science 323 : 779)、雌不妊が同一の遺伝子によって引き起こされることは新知見である。また、この遺伝子が異種のX染色体上にある遺伝子と不和合性を示す(これによって雌不妊となる)ことは明らかであるが、われわれの研究結果は常染色体にある第3の遺伝子が雑種致死に必須であることを示唆している。Nup153-Nup160-Nup96の組合せによって致死が引き起こされるという遺伝的モデルを提唱し、この成果をGenetics誌に投稿した。
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