出芽酵母の母細胞と娘細胞の境界領域であるネックに局在するセプチンリングは細胞質分裂前に、hourglass状から2本のリングへと構造変化を起こす。リング中央部のセプチン分子がユビキチン化され、分解されたり、エンドサイトーシスされたりすることにより、セプチンリングの構造変化を起こし、アクトミオシンリング収縮の場を提供している可能性を検証し、複雑な細胞質分裂機構を解明する一助とすることを目的とした。本年度はセプチンのユビキチン化・SUMO化などのタンパク質による修飾に着目した。1、セプチンタンパク質Cdc3のRsp5によるユビキチン化修飾:in vivoにおいても、Cdc3がユビキチン化されているかを確認するため、SUMO化を受けるN末領域を欠損したCdc3を用いたところ、分子量の大きいバンドを検出した。さらにsiz1SUMOリガーゼ欠損株を用いてSUMO化を除外し、siz1変異株とrsp5 siz1 2重変異株におけるCdc3をWestern法により比較した。rsp5 siz1株では、修飾バンドが消失し、Cdc3がRsp5依存的にユビキチン化修飾を受けることが判明した。また、このユビキチン化がRsp5のWWドメインと結合すると予想されるCdc3のPYモチーフに依存しているかを調べるため、部位特異的変異体を作成したところ、違いは見られなかった。2、細胞質分裂においてRsp5が関与するユビキチン化や、さらにエンドサイトーシスなどが必須であるのかを検証するため、rsp5やend3株をノコダゾール添加してM期で同調した後、制限温度下において培養し、経時的にサンプリングしてCdc3-GFPを観察したところ、少なくとも最初の細胞質分裂は正常に進行することが分かった。しかし、end3株ではネック近辺が膨らんだような細胞が観察され、細胞形態に異常をきたすことが分かった。
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