研究概要 |
出芽酵母の母細胞と娘細胞の境界領域であるネックに局在するセプチンリングは細胞質分裂前に、hourglass状から90度回転して2本のリングへと構造変化を起こし、分裂後に脱重合する。本研究はセプチンのユビキチン化、SUMO化、リン酸化などによる修飾に着目して、細胞質分裂における、それぞれの役割を解明することを目的とした。 1)セプチンのSUMO化やユビキチン化:M期から細胞質分裂時にセプチンCdc3、Cdc11、Shs1はSUMOリガーゼSiz1により一時的にSUMO化された.また、Cdc3はRsp5ユビキチンリガーゼ依存的にユビキチン化されるが、PYモチーフには依存していなかった。最近、ポリSUMO結合体を基質とするユビキチンリガーゼSlx8・Slx5が報告された。Cdc10-Siz1やCdc3-Smt3 融合タンパクをsiz1, rsp5, slx5, slx8変異株に過剰発現させて、細胞増殖阻害や形態変化を観察した結果、セプチンのSUMO化はセプチンの脱重合を誘導すること、ポリSUMO化されたSiz1がSlx8/Slx5によりユビキチン化され、タンパク質分解されることが示唆された。 2)前年度に引き続き、Mih1/Cdc25の機能解析を行い、活性制御する因子としてC-キナーゼ(Pkc1)を同定した。Pkc1によるリン酸化はMih1を核外放出させ、機能を低下させることが分かった。G2/M移行期にPkc1活性が下がり、Mih1が核移行して細胞周期進行に正に働き、さらに、ストレス時のチェックポイントとして、Pkc1がMih1をリン酸化し、その核局在を阻害して、Mih1を負に制御していると考えられた。
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