研究課題
有尾両生類や魚類では多種多様の組織が生涯にわたって再形成可能である。これらの生物における組織再生機構の解明によって、哺乳類の組織再生へのアプローチが期待される。私達は以前の研究で、再生部位は予想以上に多彩な細胞からなることを示したが、次に、これらがどのように組織再生過程に働いているか明らかにするためには、個々の細胞を追跡する方法が必要である。このため我々は、Cre-lox組み換えを用いた細胞トレーシングを確立することを目指している。昨年度までの研究で、生涯ほとんどの組織で蛍光タンパクを発現するレポーター系統の作製に成功した。本年度はさらに同じプロモーター下にNTR-GFPを組み込んだ系統を作製し、Cre-lox組み換えによって細胞をラベル氏、さらに任意の時点で細胞除去が可能な系統の作製を進めた。また、再生細胞でCreを発現させる様々のドライバー系統の作製を、BAC-to12システムを用いて進めた。赤ゼブラ系統でCre-10x組み換えを起こさせ、EGFPの発現が誘導できることを確認できた。今後、系統の確立とともに再生細胞の細胞系譜について詳細な解析を開始する。また、再生細胞が維持できない変異体db盈θについて解析を進めた。これまでに、再生芽細胞がGl1S停止を起こして細胞死に至ることを明らかにしたが、本年度は、Cloche作用の細胞自律性について解明するため変異体と野生型で細胞移植を行った。その結果、再生細胞の生存はそれ自身が変異体であるかどうかには依らず、周囲の細胞環境に支配されることがわかった。さらに、同様の細胞死表現型は、他の血球欠損変異体でも見られることがわかり、再生細胞の生存を支持する因子は血球系細胞に由来する何らかの拡散性分子であると考えられた。今後、再生細胞生存因子の同定と作用メカニズムの解明を目指す。
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Developmental Biology
巻: 361 ページ: 79-89
Biological Bulletin
巻: 221 ページ: 62-68
http://www.kudo.bio.titech.ac.jp/Index2.htm