研究課題
1)シロイヌナズナとヒメツリガネゴケに共通する「進化的コア回路」の推定JGIゲノム情報に加え、独グループ(COSMOSS)のゲノム情報も用いてサーチを徹底的にやり直し、その結果にNIBB・理研によるPhyscobaseやLeeds大等によるPEPといったcDNA情報を重ねあわせ、被子植物時計遺伝子のホモログ配列を再リストアップし、さらに上流のcis調節配列の解析を行った。その結果、現在シロイヌナズナで提唱されている時計機構モデルである「改訂版ループモデル」のうち、CCA1+LHY、ELF3+ELF4+PCL1、PRR7+PRR9の3要素からなるループに含まれるホモログのみコケでみつかることを明らかにした。2)ヒメツリガネゴケに独特なヒスチジンキナーゼの探索昨年度までの成果として、コケPRRの一部はPseudo-RRではなく典型的なRRとしてリン酸転移を受けることを明らかにした。これを受けて、コケPRRへのリン酸供与者であるヒスチジンキナーゼ(HK)を同定するためにコケのゲノム/cDNA配列を調査し、被子植物にはみられないドメイン構造を持つHKをリストアップし、それらの解析を開始した。3)二つのコケCCA1ホモログを二重破壊した株で、四つのコケPRRホモログの発現に変化が現れることを予備的解析で明らかにしていたが、さらに詳細な解析を続け、その変化が明期前半で著しいこと、進化的に区分されるPpPRR1/3とPpPRR2/4の間で変化の程度に差が生じることを明らかにした。この結果を上流の時計関連cis調節配列の分布と対応付け、コケのCCA1ホモログとPIPR7/9ホモログが構成するループは互いに制御の異なる二重ループからなることを明らかにした。以上の結果を受けて、コケPRRホモログのリン酸化に関与するヒスチジンキナーゼと、コケの時計遺伝子ネットワークの基本構造を同定しつつある。
すべて 2011
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 75(4) ページ: 786-789