染色体末端テロメアの維持は、がん細胞の無限増殖に必須である。そこでテロメアをターゲットにした新しいがん治療法の確立を目指して、テロメアーゼ阻害剤の開発などが行われている。しかし、テロメラーゼ阻害剤は即効性がないことが問題である。テロメア維持阻害と別の薬剤の組み合わせによってテロメア維持機構を瞬時に阻害することができれば、テロメアをタッゲットにした即効性のある抗がん剤治療法の開発につながることが期待できる。我々は分裂酵母Pot1とRqh1二重変異が微小管重合阻害剤に高感受性になることを発見している。しかし別の研究室がらpotlrqh1二重破壊株が合成致死であるという論文が報告された。そこで本研究ではどのような時にpotlrqh1二重破壊株が合成致死になるのかを調べた。その結果、pot1完全欠損とrqh1完全欠損の二重変異株は合成致死であるが、pot1完全欠損とrqh1ヘリケース欠損変異株(以降rqh1-KA株)の二重変異株は生育可能であることを発見した。さらにpot1挿入破壊株とrqh1完全欠損株の二重変異株も生育可能可能であることを発した。このことからpot1挿入破壊株は何らかの断片が発現していることが示唆された。次にpot1と同様に破壊するとテロメアを急激に失うことが報告されているstn1とrqh1-KA株との二重変異株が作成可能であるのかを調べたところ、作成可であることがわかった。さらにこのstn1とrqh1-KAの二重変異株のテロメア構造はpotlrqh1二重変異株とは違うことがわかった。この違いをさらに解析することで、pot1とstn1のテロメアにおける機能の違いを解明でさる可能性が示唆された。
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