研究概要 |
Gタンパク質(RagA, B/RagC, D)がいつ、どこで、どのようにしてmTOR情報伝達系を調節しているかがをあきらかにするのが本研究の目的である。さらに、このGタンパク質と相互作用するタンパク質を単離し解析してきたが、これらの相互作用するタンパク質のmTOR情報伝達系における役割を明らかにすることを目的とする。平成21年度は酵母を中心とした研究を以下のように実施した。また、ヒト細胞からRagCを欠失する株を樹立する研究を開始した。 1. Gタンパク質(Gtr1)が、TOR情報伝達系のどの部分を制御しているのかを明らかにする。 Gtr1, Gtr2の常時活性化タイプ(GTP結合型)の変異遺伝子が、Kog1、Ego1、Gtr1の変異株を相補するか調べた。まず、これらの変異株が低濃度のカフェインに感受性をしめすことを見い出した。kog1をカフェイン耐性とするGtr1, Gtr2の変異株を同定したところ,Gtr2のGTP型が耐性株を多く出す事を見い出した。Gtr1をカフェイン耐性にするのは、Gtr2のGTP型であることを見い出した。 2. Gタンパク質(Gtr1)とTor1の相互作用の意義を調べる。 Gtr1と結合するKog1の最小領域を同定するためにKog1を短く断片化しGtr1と結合するか酵母のtwo hybridの系で調べた。次いで、同定されたKog1の最小結合領域に変異導入PCR法により点突然変異を導入し、Gtr1と結合しないクローンを多数分離した。それらの塩基配列を決定し、導入された突然変異の部位を同定した。 3. mTOR情報伝達系における役割を遺伝的に明らかにするためにRagCの欠失株を樹立する。 この目的を達成するために、人のnalm6細胞のRagC遺伝子を欠失した株を樹立するために、RagCのゲノム遺伝子とヒスチジノール耐性遺伝子を含むターゲッティングベクターを作製しnalm6細胞に導入した。この実験は時間がかかるため平成21年度から開始した。そした、耐性株よりDNAを回収しRagCを半分欠失した株を分離した。
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