• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

飛ばないアリ共生型アブラムシの翅形成と維持に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21570012
研究機関北海道大学

研究代表者

八尾 泉  北海道大学, 大学院・農学研究院, 研究員 (70374204)

キーワードアリ共生型アブラムシ / 飛翔筋 / 翅 / 飛翔器官 / パラフィン包埋 / Tuberculatus属 / カシワ / 移動・分散
研究概要

アリ共生型アブラムシは,進化の過程で飛びにくい体型になってきたと考えられるが,飛翔器官がアリ共生により直接的に影響を受けているかどうかは不明のままであった.そこで,カシワホシブチアブラムシTuberculatus quercicolaを材料にして,以下の実験を行った.野外の4本のカシワから,Y字型に分岐している枝を21カ所選び,アブラムシをアリ共生・除去の条件で飼育した.それぞれの条件下で成長したアブラムシが羽化してから2日以内の個体を採集し,中胸の長さ,翅面積,中胸の面積,そして飛翔筋の面積を比較した.それぞれの形質は体長で補正した.
その結果,アリ共生下で飼育したアブラムシの飛翔器官は,アリ除去下のものより有意に小さくなっていた.これらの結果から,カシワホシブチアブラムシの飛翔器官は,アリ共生によって発達が抑制されるが,アリがいない条件では発達が可能という柔軟性を持つことが分かった.アリ共生下のカシワホシブチアブラムシは,アリ除去下に比べて,甘露排出行動が約2倍まで増加することが知られている.その結果,カシワホシブチアブラムシは篩管液の消化不良に陥り,アミノ酸が甘露中に流入してしまう.つまりアミノ酸不足から生じるタンパク質合成の低下が,飛翔器官の未発達を引き起こしている可能性が考えられる.カシワホシブチアブラムシの移動・分散は,アリ共生下で制限されていることを考慮すると,体サイズ全体を小さくするより,使用頻度の低い飛翔器官への栄養投資を割いた方が適応的であると推測される.本研究は,アブラムシとアリの共生関係において,アブラムシが被るコストが体サイズや胚子数減少だけではなく,移動や分散にも直接的に負の影響を及ぼしていることが明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ant attendance reduces flight muscle and wing size in the aphid Tuberculatus quercicola2012

    • 著者名/発表者名
      Yao I
    • 雑誌名

      Biology Letters

      巻: (In press)

    • DOI

      10.1098/rsbl.2012.0014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Seasonal changes in the flight apparatus of winged females and sexual males of the aphid Tuberculatus quercicola (Hemiptera : Aphididae)2012

    • 著者名/発表者名
      Yao I
    • 雑誌名

      Applied Entomology and Zoology

      巻: 47(In press)

    • DOI

      Ir10.1007/s13355-012-0101-2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparing wing loading, flight muscle, and lipid content in ant-attended and non-attended Tuberculatus aphid species2011

    • 著者名/発表者名
      Yao I and Katagiri C
    • 雑誌名

      Physiological Entomology

      巻: 36 ページ: 327-334

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1365-3032.2011.00801.x

    • 査読あり
  • [学会発表] カシワホシブチアブラムシの有翅雌と有翅雄における飛翔器官の季節変化2012

    • 著者名/発表者名
      八尾泉
    • 学会等名
      2011年度日本応用動物昆虫学会・日本昆虫学会共催支部大会
    • 発表場所
      北海道大学総合博物館(札幌市)
    • 年月日
      2012-01-19
  • [備考]

    • URL

      http:/insect3.agr.hokudai.ac.jp/%7Eyao/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi