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2011 年度 実績報告書

サンゴ移植を手法としたサンゴ群集回復に関する野外実験

研究課題

研究課題/領域番号 21570021
研究機関琉球大学

研究代表者

酒井 一彦  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)

キーワード造礁サンゴ / 野外実験 / 藻類 / サンゴ礁 / 藻食性魚類 / サンゴ移植 / サンゴ群集回復 / ケージ実験
研究概要

「藻食性動物は藻類を減らし、小サンゴの生存と成長を高める」を仮説として、沖縄のサンゴ礁で普通に見られるウスエダミドリイシを材料として、藻食性動物が藻類とサンゴに及ぼす影響について、ケージなし(コントロール:魚類の影響がある条件でのサンゴの生存と成長を評価)、ケージありで海藻は除去しない(魚類の影響がない条件で、サンゴと海藻の競争を評価)、ケージなしで海藻を除去する(魚類と海藻の影響がない条件での、サンゴの生存と成長を評価)の処理群を設定し、野外実験を行った。その結果、藻食性魚類は大型藻類の繁茂を抑えること、大型藻類のみならず芝状に生育する藻類が小サンゴの成長を阻害することが明らかとなった。これは、これまでサンゴ礁では大型藻類がサンゴの生育を妨げるとして注目されてきたことに加え、芝状藻類もサンゴの生育を妨げる可能性があることを意味する。また、ケージなしでは藻類の影響よりも、魚の捕食や強い光が、サンゴの生存と成長に影響を強く及ぼすことも明らかとなった。
「サンゴの被度が低ければ、小サンゴは魚類の捕食を受けて生存と成長が低くなる」を仮説として、沖縄本島の本部町と恩納村海域において、サンゴの被度が高い地点と、これと1km程度離れ、環境条件が似ているがサンゴの被度が低い地点をセットで1地域とし、コユビミドリイシの移植実験を実施した。この結果、どちらの地域においても、サンゴの被度が低い地点で移植したサンゴへの魚類の噛み痕が多かった。このことは、大規模攪乱後の回復には、サンゴ被度の閾値が存在し、サンゴの加入が少なく被度が閾値を超えない場合には、加入した小サンゴ魚類の捕食を受け、生存と成長が低く、サンゴ群集が回復しないことを示唆する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The population genetic approach delineates the species boundary of reproductively isolated corymbose acroporid corals2012

    • 著者名/発表者名
      Nakajima Y, Nishikawa A, Iguchi A, Sakai K
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution

      巻: 63 ページ: 527-531

    • DOI

      doi:10.1016/j.ympev.2012.01.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Revisiting the winners and the losers a decade after coral bleaching2011

    • 著者名/発表者名
      Woesik R, Sakai K, Ganase A, Loya Y
    • 雑誌名

      Marine Ecology Progress Series

      巻: 434 ページ: 67-76

    • DOI

      doi:10.3354/meps09203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Coral larvae under ocean acidification : survival, metabolism, and metamorphosis2011

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Masako
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6

    • DOI

      e14521.doi:10.1371/journal.pone.0014521

    • 査読あり
  • [学会発表] サンゴ幼生の分散範囲は想像されていたより狭い?2012

    • 著者名/発表者名
      酒井一彦
    • 学会等名
      日本生態学会第59回大会
    • 発表場所
      龍谷大学瀬田キャンパス(滋賀県)
    • 年月日
      2012-03-19
  • [学会発表] 世界のサンゴ礁の現状のなかで、沖縄のサンゴ礁を考える2011

    • 著者名/発表者名
      酒井一彦
    • 学会等名
      日本熱帯生態学会第21回大会
    • 発表場所
      沖縄県男女共同参画センターてぃるる(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-29
  • [図書] サンゴ礁学未知なる世界への招待(日本サンゴ礁学会編)2011

    • 著者名/発表者名
      酒井一彦
    • 総ページ数
      259-273
    • 出版者
      東海大学出版会

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公開日: 2013-06-26  

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