研究課題
光化学系II反応中心の再生には、D1タンパク質など反応中心を構成するタンパク質の新規合成が必要である。申請者らは近年、強光ストレス下で発生する活性酸素によって、これらのタンパク質の合成が翻訳伸長過程で阻害されることを明らかにした。さらに、タンパク質合成阻害のメカニズムとして、翻訳伸長反応を担う翻訳因子EF-Gが酸化され、特定のCys残基間にジスルフィド結合を形成して失活することを明らかにした。本年度の研究では、シアノバクテリアのEF-Gで明らかになった翻訳傷害のメカニズムをもとにして、大腸菌のEF-Gに関して、酸化条件下および還元条件下におけるEF-GのCys残基のレドックス状態と翻訳機能との関係を、Cys残基の修飾や改変、大腸菌の加再あo翻訳系Puresystemを用いた翻訳活性測定により調べた。その結果、大腸菌EF-Gも、酸化条件下では特定のCys残基間で分子内ジスルフィド結合が形成され失活することが明らかになった。また、EF-Gの酸化に伴いGTPase活性が低下することが観察され、ジスルフィド結合の形成がGTPase活性を阻害していることが示唆された。さらに、このジスルフィド結合がチオレドキシンによって還元され、EF-Gが再活性化することを明らかにした。これらの結果から、光合成生物のみならず、大腸菌においてもタンパク質合成がEF-Gのレドックス状態によって制御されていることが示唆された。
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