研究課題
本研究では、シロイヌナズナの根を材料として、低温で形成される生体膜の形態を共焦点レーザー顕微鏡下で詳細に観察するとともに、脂質合成酵素の細胞内局在を明らかにし、低温におけるリン脂質生合成のしくみと意義に関して新たな知見を得ることを目的とする。シロイヌナズナの野生型WSおよびcct1-1,cct2およびcct1-1 cct2植物の実生を2℃で3~7日処理したのち、根を切り取り、氷上で各種膜染色試薬(ER Tracker、Mito Tracker Orange)に浸した。。低温で洗浄後に共焦点レーザー顕微鏡下で観察したところ、cct変異がひどくなるに従い表皮の内膜(エンドメンブレン)の形成が阻害された。低温でのリン脂質合成の阻害が内膜形成を阻害することを示している。以上の成果は、国際学会(第三回アジア植物脂質シンポジウム)で口頭発表した。今後、pect1-4変異株でも同様の観察を行う予定である。また、低温凍結SEMにより、内膜構造を直接観察することを計画している。CCT1およびCCT2には明らかな核局在シグナルを持たないが、また、C-末にsGFPを結合したCCT1-sGFPで特に各局在が顕著であることを再確認した。酵母ツーハイブリッド法でCCTの結合ターゲットを検索し同定している。CCT1とCCT2では、低温における活性化様式が異なることを明らかにした。CCT1は低温で発現上昇を伴わずに活性化するのに対し、CCT2は低温で発現量が増加することにより活性化する。この成果をPlant Cell Physiol誌に論文発表した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Plant Cell Physiol 50
ページ: 1727-1735