研究課題
これまでの膜の蛍光染色試薬を用いたわれわれの研究から、cct1 cct2変異株では野生型に較べ、根の表皮細胞のER膜の発達が阻害され、その違いは低温で特に顕著であることを明らかにした。しかし、蛍光染色法は、感度が十分でなく膜の微細構造を観察するのに適さない。そこで、ER局在Bipタンパク質にGFPを融合したBip-GFPを発現するシロイヌナズナをバックに、cct1 cct2変異株を作成することとした。cct1 cct2変異株は2代目以降不稔となるので、6擢cct1 CCT1 Bip-GEP植物とcct2 BipGEP植物を掛け合わせ、1代目の種子を回収する必要がある。今年度は、掛け合わせ前の植物の作出を完了した。cct1 cct2変異株の根の伸長が低温で停止することから、低温処理により根の脂質組成がどのように変化するかを二次元シリカゲル薄層クロマトグラフィーで解析した。その結果、cct1 cct2変異株では、低温処理により未同定の脂質を蓄積することがわかった。この脂質については、基礎化学科・長谷川登志夫准教授と共同ですでに構造を決定した。現在、この脂質の蓄積と根の伸長阻害の関連を生理学的実験により検討している。多様な変異表現型を示すPect1-4植物について、葉の呼吸活性に違いを検討した。23℃短日条件でで2週間生育させたPect1-4植物の葉の呼吸は、野生型と較べ低いものの有意な差はなかった。しかし、5週間後のPect1-4植物の葉では、野生型に較べ呼吸活性が有意に低下していた。今後は、ミトコンドリアを単離し、チトクロム経路とAl ternative Oxidase経路のいずれに原因があるのかを明らかにする。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Plant J
巻: 67 ページ: 648-661
DOI:10.1111/j.1365-313X.2011.04624.x