研究課題
植物の重力屈性は、重力の方向を認識した上で成長方向を制御する反応で、重要な環境応答の一つである。近年、我々を含めた多数の研究グループにより、重力感受細胞についての研究、器官の偏差成長に関わるオーキシン輸送及び応答についての研究は進んでいる。一方でその両者をつなぐ、重力感受細胞内シグナル変換及び伝達、並びに伸長領域の細胞への細胞間シグナル伝達については、その分子メカニズムに関する知見は極めて乏しい。本研究では、シロイヌナズナ花茎の重力屈性の初期過程におけるシグナル伝達において、蛋白質の翻訳後修飾、特にタンパク質リン酸化による制御が介在する可能性を追求している。(A)花茎重力屈性における蛋白質リン酸化制御の役割1.プロテインボスファターゼの阻害剤によりシロイヌナズナ花茎重力屈性が阻害されることが明らかになった。現在、花茎伸長、オーキシン偏差分布、アミロプラスト沈降に与える阻害剤の影響を評価している。2.花茎重力感受細胞である内皮細胞で発現している29遺伝子に含まれるキナーゼ(CIPK, MAPKなど)について、重力屈性との関連を探る目的で、T-DNA挿入変異体の解析及びホモログ間での多重変異体の作成を進めた。(B)重力刺激に応答してリン酸化制御を受ける蛋白質の探索シロイヌナズナの花茎断片を試料とし、重力刺激前(1gで立てた状態)と遠心により過重力刺激(10g, 5min)を与える実験系を立ち上げた。容易に調整できる花茎の可溶性画分をモデルケースとして蛋白質抽出法、電気泳動法等の条件検討を行った。リン酸化タンパク質濃縮カラムを用いて、試料を目的とするタンパク質を濃縮し、Pro-Q Diamondによる検出を行った。可溶性画分からは、過重力刺激によるバンドパターンの変化は見られなかった。
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Annual Review of Plant Biology 61(in press)
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