研究概要 |
遺伝子共発現解析によりフラボンC配糖体生合成に関与すると予想された候補配糖化酵素(UGT)の解析を続行した。C-配糖化酵素の活性測定にあたり、まず、既に同定されたC6グルコース転移酵素を用いて至適pHや二価イオン添加による影響を調べ、活性測定条件を決定した。この条件を用いて、遺伝子共発現解析で候補とした2種類の配糖化酵素(OsUGT78,OsUGT80)の組換えタンパク質を用いて、2-ヒドロキシナリンゲニンを糖受容体に、UDP-グルコースもしくはUDP-アラビノースを糖供与体にして、酵素活性を測定した。特にOsUGT78に対しては、C-8位に配糖化する可能性も考慮し、既知のC6グルコース転移酵素と共に反応させたが、いずれの場合も新しい反応産物を検出することができなかった。OsUGT78はアピゲニンC-6グルコシドに対しても反応しなかった。OsUGT80の過剰発現コンストラクト導入したシロイヌナズナのフラボノール欠損変異体のフラボノイド分析を行ったが、明確な新たな代謝産物は検出できなかった。 陸上植物6種類(P.patens,S.moellendorffii,P.trichocarpa,O.sativa,A.thaliana,A.lyrata)UGT保存配列を持つ遺伝子を選抜し、系統樹解析を行った結果から、既知のC6グルコース転移酵素と同じorthologous groupに属する遺伝子群にはOsUGT80の他にOsUGT83が存在した。OsUGT83について、大腸菌内で組換えタンパク質を発現させ、OsUGT80と同様に酵素活性を測定したが、新しい反応産物は検出されなかった。 異なるイネの共発現データベースを再検索し、フラボンC配糖体生合成への関与が予想される脱水素酵素、配糖化酵素を新たに見いだした。
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