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2010 年度 実績報告書

ゾウギンザメの体液調節:軟骨魚類研究の新規モデルの創生

研究課題

研究課題/領域番号 21570061
研究機関東京大学

研究代表者

兵藤 晋  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (40222244)

キーワード体液調節 / 尿素 / 軟骨魚類 / ゾウギンザメ / 尿素サイクル / 環境適応 / 脳下垂体神経葉ホルモン / 進化
研究概要

軟骨魚類は体内に尿素をため込むことで、体内の浸透圧を海水と同じレベルに保つ。今年度は、ゾウギンザメの尿素合成系の解明を進めた。グルタミン合成酵素、CPSIII、アルギナーゼなどの主要な尿素サイクル酵素群をクローニングにより同定した。これらの酵素活性も測定した。その結果、ゾウギンザメでも肝臓が主要な尿素産生部位であり、環境塩分濃度の変化に応答して尿素合成活動を変化させた。筋肉でもCPS活性は見られたが、mRNA量はドチザメと比べて少なく、体内尿素量への寄与は低いと考えられた。その他、腎臓などでも尿素サイクル酵素群のmRNA発現と活性が見られた。これは、腎臓で再吸収したアンモニアを尿素の変換し、尿素保持に重要な現象だと考えられる。肝臓での尿素合成は卵殻内で発生中の胚から見られたが、現在発生段階を追ったサンプリングを行っており、今後詳細な解析を行う。
本年度は、腎機能をはじめとする様々な機能の調節に関わる神経葉ホルモン(ゾウギンザメではバソトシンとオキシトシン)の受容体の解析も進めた。4種類の受容体様遺伝子を同定し、COS細胞での機能解析により、そのうちのひとつはこれまでに未同定のバソトシン受容体であることを発見した。同タイプの受容体をメダカなどの真骨魚類からも発見したが、四肢動物では見つけることができず、魚類特異的な受容体であり、四肢動物の腎尿細管で働くV2受容体の原型である可能性を見出した。ゾウギンザメの受容体は四肢動物と比べてリガンド選択性も異なり、機能的・進化的な観点から新たな概念を示すものであった。今後、ホルモンの機能を詳細に調べていく予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Rhesus glycoprotein p2 (Rhp2) is a novel member of the Rh family of ammonia trans porters highly expressed in shark kidne.2010

    • 著者名/発表者名
      Nakada, T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 285 ページ: 2653-2664

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A new method to calibrate attachment angles of data loggers in swimmin sharks.2010

    • 著者名/発表者名
      Kawatsu, S.
    • 雑誌名

      Eurasip Journal on Advances in Signal Processing

      巻: 732586 ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vasotocin/V2-type receptor/aquaporin axis exists in African lungfish kidney but is functional only in terrestrial condition.2010

    • 著者名/発表者名
      Konno, N.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 151 ページ: 1089-1096

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Changes in prolactin mRNA levels during downstream migration of the amphidromous teleost, ayu Plecoglossus altivelis.2010

    • 著者名/発表者名
      Yada, T.
    • 雑誌名

      General and Comparative Endocrinology

      巻: 167 ページ: 261-267

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 軟骨魚類の生理学研究:体液調節を中心にライフサイクルを追う2010

    • 著者名/発表者名
      兵藤晋
    • 雑誌名

      板鯉類研究会報

      巻: 46 ページ: 1-7

  • [学会発表] サメ、エイ、ギンザメ:体液調節を中心にそのライフサイクルを追う2010

    • 著者名/発表者名
      兵藤晋
    • 学会等名
      第11回日本比較三学会合同シンポジウム
    • 発表場所
      静岡グランシップ
    • 年月日
      2010-11-20
  • [学会発表] アカエイのカルシトニンファミリー受容体のクローニングと発現解析2010

    • 著者名/発表者名
      鈴木信雄
    • 学会等名
      第35回日本比較内分泌学会
    • 発表場所
      静岡グランシップ
    • 年月日
      2010-11-19
  • [学会発表] トビハゼの水陸両生におけるバソトシンとイソトシンの役割2010

    • 著者名/発表者名
      西山雄大
    • 学会等名
      日本動物学会第81回大会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] ドチザメにおけるカルバミルリン酸合成酵素IIIの分布と環境塩分変化の影響2010

    • 著者名/発表者名
      山口陽子
    • 学会等名
      日本動物学会第81回大会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] ドチザメの鯉隔膜上で発見した新規塩類細胞様集合体の機能2010

    • 著者名/発表者名
      高部宗一郎
    • 学会等名
      日本動物学会第81回大会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] ドチザメの脳における新規RFalnindeペプチドの同定2010

    • 著者名/発表者名
      大杉知裕
    • 学会等名
      日本動物学会第81回大会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] アカエイにおけるカルシトニンの生理的役割2010

    • 著者名/発表者名
      鈴木信雄
    • 学会等名
      日本動物学会第81回大会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2010-09-23
  • [備考]

    • URL

      http://physiol.ori.u-tokyo.ac.jp/seiri/hyoudo/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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