研究概要 |
これまでに過重力刺激を与えた植物のトランスクリプトーム解析により,過重力により発現変化する遺伝子の中でオーキシン関連のものが多く含まれることが確認された(Tamaokiら,2009).そこで過重力が促進するリグニン形成に花茎内のオーキシン動態が関与するか否かを明らかにするため,オーキシン応答性プロモーターの下流にレポーター遺伝子をつないだコンストラクト(DR5::GUS)を導入したシロイヌナズナの形質転換体を用いて,オーキシン動態を可視化した.過重力を与えたDR5::GUS形質転換体の花茎において強いGUS発現が検出された.またそのときの花茎におけるリグニン合成関連遺伝子の発現は増加した.次にシュート頂からのオーキシンの供給を絶つ目的で摘芯処理を行ったDR5::GUS形質転換体に過重力を与え解析を行った.その結果,過重力による花茎内のGUS発現増加は見られず,リグニン合成関連遺伝子の発現も増加しなかった(Tamaokiら,2011).この結果,過重力による花茎におけるリグニン形成の促進には内生オーキシン量の増加が関与することが示唆された.これらの結果は花茎における抗重力反応にオーキシンが関与することを強く示唆する. 国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟において微小重力および1Gの条件下において生殖生長まで全うさせた植物試料から取り出した種子について,大型放射光施設SPring-8を利用したX線CTによる非侵襲観察については,着手しており現在も解析を進めているところである.
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