研究課題
酵母のオートファジーにおいて、オートファゴソーム形成初期過程の膜動態について形態学的解析を行った。1、オートファゴソーム形成に関与する遺伝子(ATG)のうち、6個の遺伝子欠損株はAtg8が脂質結合型となる。これら6個の遺伝子欠損株は免疫電顕法により、膜構造体が検出される株と検出されない株の二つのグルーブに分けられた。膜構造体が検出されるグループの中から1つの欠損株について、膜形態を詳しく調べるために3次元再構成法によるトモグラフィ解析を行った。その結果、膜構造体は、小さな袋状またはチューブ状、あるいはもっと複雑な形態をしていることが判った。液胞内酵素であるアミノペプチダーゼI(前駆体型)の一部が、その膜構造体と密着していることが3次元画像解析から確認された。加えて、その膜構造体は粗面小胞体とも密着または連結していると予測されることが明らかとなってきた。今回の結果が得られたことから、他に2つの欠損株を選択し、同様な3次元連続傾斜画像の取得とトモグラフィ解析を行った。2つの欠損株とも最初の株と類似した画像解析結果が得られた。2、もう一方のグループのatg1欠損株は、アミノペプチダーゼIの周囲に顕著な膜構造体は検出されない。ATG9はコピー数を増加させることで初めて形態学的に検出可能となり、その酵素の周囲に膜様構造体が出現した。小さなチューブルのような複雑な形態をしていると予測された。その構造体上におそらく脂質化Atg8の反応は検出されない。この解析過程において、Atg9が膜形成の最初の過程に必須であり、SNARE複合体の一つであるSso1が、この最初の膜形成に関与することを明らかにした。3、atg5欠損株のアミノペプチダーゼIの周囲には、時折、膜のような構造体が存在する画像が得られた。しかし、Atg9の反応は現時点では検出されていない。
すべて 2011
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Autophagy
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Cell
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