研究課題
これまでの研究により、Fruitless(Fru)発現味覚ニューロン群およびDoublesex(Dsx)発現味覚ニューロン群には性差が存在し、その投射パターンの性差形成にfruitless(fru)遺伝子およびdoublesex(dsx)遺伝子が関与していることが明らかになった。その結果を利用することで、雄の性特異的な投射パターンを雌型の変更することが可能となった。本年度は、雄特異的な投射パターンが変化した個体がどのような交尾行動を示すか観察し、味覚ニューロン群の性特異的な投射パターンの機能を調査した。味覚ニューロン群にfurRNAi遺伝子を強制発現しfru遺伝子の発現作用を抑制すると、雄の投射パターンは雌化する。また、雌型Dsx(DsxF)タンパク質を味覚ニューロンに強制発現させると、同様に雄の投射パターンは雌型に変更される。これらの雄特異的な投射パターンを示す味覚ニューロンを持たない雄を野生型雌と一緒にし、雄の交尾行動を観察した。交尾開始までの時間(Courtship Latency:CL)および一定時間中に交尾行動を示した時間の割合(Courtship Index:CI)を計測し、野生型雄の場合と比較したところ、野生型との違いは示されなかった。一方、HA標識されたsynaptotagminを味覚ニューロンで発現させると、確かに正中線領域もラベルされた。synaptotagminは前シナプス領域に蓄積することから、雄特異的な投射領域でシナプス出力があることが推察される。このことから、雄特異的な投射領域は雌とは異なる何らかの情報を伝えていると考えられ、CLやCIに反映されない交尾行動のパターンの制御にその機能を持っているのかも知れない。これは、今後の課題として残された。
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Development
巻: 138 ページ: 1493-1499
1242/dev.058958