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2009 年度 実績報告書

昆虫における嗅覚連合学習の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21570074
研究機関東京学芸大学

研究代表者

吉野 正巳  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20175681)

キーワード昆虫 / 連合学習 / キノコ体 / ケニオン細胞 / パッチクランプ / イオンチャネル / ムスカリン受容体 / アセチルコリン
研究概要

フタホシコオロギの持つ高度な嗅覚連合学習の分子機構を、イオンチャネルや受容体のレベルで明らかにするため、昆虫の記憶中枢であるキノコ体の内在ニューロン、ケニオン細胞にアンフォテルシンBを用いた穿孔パッチクランプ法及びCell-attachedパッチクランプ法を適用し、嗅覚情報を媒介するアセチルコリン(ACh)の同定チャネルに対する作用を調べ、以下の結果を得た。
(1)Na活性化Kチャネル(KNaチャネル)の開口確率(Po)はAChにより減少した。
(2)電位依存性L型CaチャネルのPoはAChにより増加した。
(3)誘発性及び自発性活動電位はAChにより増加した。
(4)AChの作用は、ムスカリン受容体アンタゴニストのアトロピン、スコポラミンにより抑制された。
(5)細胞内cGMPはACh類似の作用を引き起こした。
(6)一酸化窒素(NO)供与体のGSNO及びSNAPはACh類似の作用を引き起こした。
(7)PKG抑制剤KT5823は、AChの作用を抑制した。
以上の結果は、匂い情報を媒介する神経伝達物質AChの下流にムスカリン様受容体、NO、cGMP、Gカイネースがあり、KNaチャネルとCaチャネルがそれぞれ、リン酸化により抑制的、及び増強的に制御されている可能性を示唆した。この知見はAChがニコチン様ACh受容体を介する早いシナプス伝達以外に、ムスカリン様受容体介した遅い、興奮作用を併せ持つことを示しており、嗅覚学習の機構への積極的関与、あるいは、脊椎動物の海馬で知られる、ムスカリン受容体を介した長期増強の亢進と類似の作用が存在する可能性を示唆するものである。
これらの知見にさらに次年度以降明らかにする、報酬情報と嫌悪情報を媒介するオクトパミン及びドーパミンの細胞内シグナルカスケードを重ね合わせることで、条件刺激と無条件刺激の連合の基礎となる、クロストークを明らかにでき、昆虫の嗅覚連合学習の分子実体に迫ることができると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ムスカリン様受容体によるキノコ体ケニオン細胞のイオンチャネル制御2009

    • 著者名/発表者名
      吉野正巳
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会第31回大会
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(大阪府)
    • 年月日
      2009-10-23

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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