本年度は、スジキレボヤのグルタチオン還元酵素(GR)、GSH、Trx (thioredoxin)/Grx (glutaredoxin)、Vanabinを含む一連のカスケードが、SH-SS交換反応を介した電子伝達により、バナジウムの酸化・還元反応に共役していることを実証することを目的として、以下の研究を行った。 1.スジキレボヤのcDNAライブラリーからチオレドキシンとチオレドキシン還元酵素、グルタレドキシンの遺伝子を得た。チオレドキシン2種類、還元酵素1種類の遺伝子断片を得た。 2.チオレドキシンとチオレドキシン還元酵素を含む還元カスケードによる五価バナジウムの還元反応を検証したところ、還元反応は認められなかった。 3.Vanabinを含む還元カスケードによる二価銅、二価マンガン、三価鉄、二価コバルト、二価亜鉛の還元反応を検証した。バナジウム以外のこれら遷移金属イオンの還元反応は認められなかった。 4.システイン変異導入Vanabin2による五価バナジウムの還元反応を検証したところ、一部の変異体では還元反応活性が上昇することがわかった。 5.四価バナジウムの還元に関与するredoxタンパク質の同定を試みたが、同定には至らなかった。
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