研究課題
基盤研究(C)
海産動物アメフラシの口球神経節内の同定MAニューロンへクラミドモナス由来のチャンネルロドプシン2(ChR2)を機能移植し、MAの摂食神経回路網内での機能的役割を調べた。実験ではMA細胞体へChR2発現ベクター(pNEX-ChR2)を導入後、20℃で3日間培養した。MA細胞体領域を明るい青色光(100Wキセノンランプ)で刺激すると、ほとんどのシナプス後ニューロンで脱分極応答が記録された。MAは多くのシナプス後ニューロンと電気シナプスに加えて抑制性結合をしていることから、今回の結果はこれまでの電気生理学的データと一致しない。ChR2は細胞全体に発現するため明るい光刺激は細胞全体を脱分極させるであろう。すると、本来、細胞体近傍で発生した活動電位が軸索側の脱分極でその伝導が抑制されて末端まで伝わらず、電気シナプスによる脱分極応答のみが発現した可能性がある。そこで、青色レーザー光源を用いたビーム径(10μm)の小さな光刺激をMA細胞体の一部に与えて調べたところ、予想されるほとんどのニューロンでIPSPを記録することができた。さらに本実験では、MA細胞体に長時間の強い光刺激やレーザービームを与えるとリズミカルな応答がMAやその他のニューロンに誘発されることがわかり、MAは潜在的にこのような能力があることが予想された。本研究の結果、この方法では適切な光刺激を行わないと本来の生理現象とは異なる応答が得られる危険性があることが示唆された。
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