これまでに福島県双葉層群(後期白亜紀)から発見してきた上北迫植物化石群の中から、被子植物の花化石を中心的に、SPring-8でマイクロCTによる内部構造の解析のための測定を行った。白亜紀の花の直径はわずかに1mmしかなく、その中の構造を非破壊的に明らかにすることは容易なことではない。この研究にはアメリカからPatrick HerendeenとPeter R Craneが参加した。BL20B2のビームラインで得られた透過データから、1000枚の断層像を作成し、さらにTri3DVLにて3次元データに再構築していった。これらの3次元構築データの解析によって、これまで、花芽の内部に隠れていた各器官の状態を解明することができた。その結果、この花は、3数性の花であり、しかも、1心皮性であることにより、8900万年前の絶滅したクスノキ科の花化石であることを示唆した。これらの研究を現在、取りまとめ中である。 シカゴにある大型加速器施設APSにて、マイクロCT測定を7月に実施した。その結果、APSでは、広視野・高分解能撮影が可能であることが分かった。その結果を、2000x2000x2000pixelsの3次元マトリックスデータ化することができた。これだけの大容量のデータマトリックスを解析できるシステムを作り上げるために、64bit48Gbのワークステーションの導入を検討している。現在、3次元構造のレンダリングを行っている。 これらの研究成果を、日本植物学会(2011年9月17日~19日; 於 東京大学)にて発表した。
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