研究課題
これまでに福島県双葉層群(後期白亜紀)から発見してきた上北迫植物化石群(8900万年前)の被子植物の花化石の内部構造を、シカゴの大型加速器(APS)のビームライン2-BM-BのマイクロCTによる解析を行った。白亜紀の花の直径はわずかに1mm前後であり、その中の構造を非破壊的に明らかにすることは容易なことではない。この研究には Herendeen(シカゴ植物園)と Crane(イエール大学)が参加した。2-BM-Bのビームラインで得られた透過データから、1000枚の断層像を作成し、さらにTri3DVLにて3次元データに再構築していった。これらの3次元構築データの解析によって、これまで、花芽の内部に隠れていた各器官の状態を解明することができた。その結果、この花は、3数性の花であり、しかも、1心皮性であることにより、8900万年前の絶滅したクスノキ科の花化石であることを示唆した。その結果、APSでは、広視野・高分解能撮影が可能であり、サイズや形状も多様な白亜紀の花化石の構造解明のために、極めて適している装置であることが分かった。さらに、その結果を、大型ワークステーションによって、2000x2000x2000 pixelsの3次元マトリックスデータ化して、3Dレンダリング法に3次元構築を可能としてきた。その結果、従来は解明できなかった、白亜紀の微小な花や果実の内部の情報を高分解能で明らかにすることができるようになった。24年の7月に、シカゴの大型加速器施設APSで、それまで不足していたCTデータの撮影を行った。これらの研究成果を取りまとめつつ、それぞれの花化石について、研究論文を作成している。
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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Annals of Botany
巻: 109 ページ: 921-936
Grana
巻: 51 ページ: 84-96
http://env.sc.niigata-u.ac.jp/~masa/