日本の沿岸に飛び石的に分布する汽水域固有の稀少カニ類について、集団間の遺伝的特徴と生態的特徴の変異を明らかにすることを目的として研究を遂行し、本年度は以下の成果を得た。 1.ヒメヤマトオサガニについて昨年度までにとりまとめた遺伝的変異と繁殖特性の地域間変異を論文化し、学会誌に発表した。 2.タイワンヒライソモドキについて、遺伝的解析のサンプルを増やし、遺伝的変異の解析を進めた結果、日本本土と南西諸島との間に遺伝的な障壁があること、さらに日本海の対馬の集団は、これら2つの集団とも遺伝的に異なる特徴をもっているという興味深い結果が得られた。 3.チゴガニについては、対馬の集団は、遺伝的には、南西諸島とは異なり、本土の集団と共通すること、ただし行動的には南西諸島に近いことが明らかとなった。
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