研究概要 |
日本に生息するカワトンボ類全種(アサヒナカワトンボ,ニホンカワトンボ,クロイワカワトンボ,アオハダトンボ,ミヤマカワトンボ,バグロトンボ,リュウキュウハグロトンボ),中国に生息するMnais属の1種,メキシコに生息するHetaerina属の1種に関して,オスの交尾器の左右非対称性と,メスの交尾嚢と受精嚢への精子の貯蔵比のデータを初年度に得たが,今年度はさらにリュウキュウハグロトンボの奄美大島,徳之島,沖縄本島の各個体群について同様の調査を行い,また,北アメリカに生息するCalopteryx maculataの野外調査を行った.これらの結果をDNAの塩基配列に基づく系統樹上に示すと,左右対称な交尾器が祖先形であり,左右非対称性は1回だけの起源に基づいていた.しかし,非対称性には種ごとに程度の差があり(やや非対称な種から顕著に非対称な種まで),メスの精子の貯蔵様式との相関が認められた.それをさらに確かめるためには,今後,東南アジアおよびヨーロッパの種の観察が必要である
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