研究課題/領域番号 |
21570102
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
上田 恵介 立教大学, 理学部, 教授 (00213348)
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研究分担者 |
吉安 裕 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90038315)
広渡 俊哉 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20208896)
高木 昌興 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70311917)
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キーワード | フクロウ / 寄生 / 共進化 / 甲虫類 / 鱗翅目昆虫 / 巣内共生系 / 生物地理学 / 系統学 |
研究概要 |
日本列島に生息するフクロウ類5種の巣に共生する鱗翅目昆虫相についての野外調査を行った。今年度の調査の結果、リュウキュウオオコノハズクの巣からは3種のヒロズコガ類、ダイトウコノハズクの巣からは2種のヒロズコガ類と1種のメイガが,フクロウの巣からは、クロスジイガが初めて確認された。シマフクロウの巣からは、クロスジイガとクサモグリガ科sp.、アオバズクの巣からは、イガとウスロイガが出現した。これらのどの種も日本未記録種もしくは新種である可能性が高く、このグループの蛾類の多様性を改めて証明するものになった。またフクロウ以外の巣についても調べた結果、南大東島のモズの巣やウチヤマセンニュウの巣も、蛾類が利用していることが判った。またコウノトリの巣からはアカマダラハナムグリと思われる幼虫を多数見つかった。樹洞性のブッポウソウからはウスグロイガが、同じくヤマガラの巣からはマエモンクロヒロズコガとフタモンヒロズコガが羽化した。 調べたフクロウ類の巣内は、動物性タンパク質が多量に堆積しているにもかかわらず、腐敗臭もなく、巣内のヒナの生息にとって清潔な環境に保たれていることがわかった。このことから、巣内共生鱗翅目昆虫が、巣内の清掃者として、フクロウに相利共生的な利益をもたらす重要な役割を演じていることが推察された。これらの成果は、2010年9月に東邦大学で開催された日本鳥学会大会で「フクロウ類の巣に共生する鱗翅目昆虫相」というタイトルで発表した。また日本昆虫学会2010年度大会において、「南大東島のモズの自然巣から羽化した鱗翅類」を発表した。さらに総説と紹介を日本自然保護協会の機関誌『自然保護』2010年10月号に執筆した。 さらに日本鳥学会誌、山階鳥研報などの鳥類学関係の雑誌と国際的な生態学関連の雑誌に投稿すべく、準備中である。
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