研究概要 |
平成24年度は最終年度であるため、これまでのまとめとして分類学的な再検討を行った。 ツキヌキゴケCalypogeia angusta Steph.とされてきた種概念は、C. mulleriana (Schiffn.) Muell.Frib.と同じであるとの結論に達した。また、C. angustaのタイプ標本は、ホラゴケモドキC. azureaに一致するものであり、タイプ標本の分類学的な解釈に誤りがあることも分かった。更に、日本産のタカネツキヌキゴケC. neesiana ssp. subalpina (Inoue) Inoueの再検討を行い、欧州産と良く一致することから基本種の異名とする。次のような新たな分類学的な知見を得た。トサホラゴケモドキC. tosana (Steph.) Steph.のタイプ標本には2種が混生しており、従来の解釈が間違っており、本種は2種に分けるべきである。フジホラゴケモドキC. fujisana Inoueは台湾固有とされるC. formosana Horik.と同種である。 ハワイ諸島産も再検討し、C. aeruginosa Mitt.=C.aeruginosa var. waialealeensis Miller et Kuwah.、C.arguta Nees et Mont. =C. bifurca Aust. =C. pacifica Steph.、 C. confertifolia Steph.、C. cuspidata (Steph.) Steph.=C. hawaica Steph., Metacalypogeia alternifolia (Nees) Grolle., M.fusca (Lehm.) N. Kitag. =C. baldwinii Aust. =C. rockii Steph. の2属6種と認め、学名を整理する。
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