研究概要 |
DNAポリメラーゼ-PCNA-DNA複合体に関しては、分解能を向上させることにより、DNAがポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性部位に接触している様子を可視化することに成功した。またDNA ポリメラーゼには複製と校正の両モードがあるが、PCNAとポリメラーゼの相互作用によって切換えが制御されていることを、結晶解析のデータと電顕による2次元平均像の結果を用いて誌上発表を行った(Nishida et al., PNAS, 2009)。この結果とDNAの配向から現在得られている構造は校正モードに相当することを明らかにした。DNAリガーゼ-PCNA-DNA複合体に関しては、現在得られている複合体の構造では、PCNAサブユニットが1つ空いている。一方でヒトのリガーゼLig1は4つのドメインからなり、古細菌のリガーゼと比較すると、N末端に更にもう一つのPCNA結合ドメインが存在していることが分かっている。そこでヒトのリガーゼから構成されるLig1-PCNA-DNA複合体の立体構造解析を開始し、現在十分高い分解能の解析には至っていないが、PCNA上にLig1の4つのドメインに相当すると考えられる4つの密度を可視化できた。 新規ラベル法については、先ずDNAナノ構造体の観察から着手した。DNA2重鎖から構成される正4面体構造を作成、電子顕微鏡で観察して、画像解析によって平均像を計算した。またDNA単鎖末端のラベル化として、GGA繰り返し配列が高次構造を形成する性質を応用することを考えた。GGAが8回繰り返す24塩基から構成されるラベルを作成し、PCNAの両側にアレイ状に高次構造の密度を可視化することに成功した。
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