• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

個々のMMP活性を選択的に制御する高特異性インヒビターの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21570118
研究機関横浜市立大学

研究代表者

東 昌市  横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (10275076)

キーワードマトリックスメタロプロテアーゼ / MMP-2 / β-アミロイド前駆体タンパク / MMPインヒビター / TIMP-2 / 癌の浸潤・転移 / 血小板凝集 / 血栓症
研究概要

癌細胞が分泌するタンパク質分解酵素、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)は癌の増殖および浸潤、転移を支えることから、癌治療の有望な標的分子である。しかし、従来開発されてきたMMP阻害剤は特異性が低く、様々な副作用を示し、それらを抗転移剤として開発することは困難を極めた。本研究では、私達が見出した個々のMMPに特異的に作用する生体分子を応用し、副作用の極めて少ない癌治療薬の開発をめざす。本年度はβ-アミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来する10残基ペプチドインヒビター(APP-IPと命名)がMMP-2に対し、高い選択性を持つことに着目し、さらに特異性の高いインヒビター分子の設計を試みた。私達の以前の研究より、生体内のMMPインヒビタータンパク質であるTIMP-2の主鎖のNH2末端α-アミノ基を修飾すると、MMPインヒビター活性が完全に失われるのに対し、MMP-2に対する結合能は保持されることが分かっていた。そこで、今回、TIMP2のNH2末端にAPP-IPのアミノ酸配列を付加したところ、他のMMPに対する阻害活性は失われたのに対し、MMP-2に対しては強力な阻害活性を持つ分子になることが判明した。この融合タンパク質APP-IP-TIMP-2はMMP-2の合成基質水解活性を非常に低い阻害定数(Ki=3pM)で阻害するほか、MMP-2を分泌する癌細胞の移動やこの細胞によるIV型コラーゲンの分解を抑制することが判明した。癌細胞が基底膜を破壊して浸潤・転移する際に基底膜の主成分であるIV型コラーゲンの分解が重要になるが、APP-IP-TIMP-2はこの浸潤過程を抑止するのに有効な薬剤と成り得る可能性がある。一方、近年、MMP-2が血小板凝集を促進することが明らかになりつつあることから、今回設計した融合タンパク質は血栓症の予防薬として開発することも可能かも知れない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Matrilysin(MMP-7)cleaves C-type lectin domain family 3 member A(CLEC3A)on tumor cell surface and modulates its cell adhesion activity2009

    • 著者名/発表者名
      Jun Tsunezumi
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Biochemistry 106巻

      ページ: 693-702

    • 査読あり
  • [学会発表] マトリプターゼ(MT-SP1)によるCTGF(IGFBP-rP2)の切断と腫瘍増殖促進作用2009

    • 著者名/発表者名
      寺田翔
    • 学会等名
      第82回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2009-10-23
  • [学会発表] マトリックスメタロプロテアーゼ-2(MMP-2)に対し、高い特異性を持つインヒビタータンパク質の設計2009

    • 著者名/発表者名
      廣瀬智一
    • 学会等名
      第82回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2009-10-23
  • [備考]

    • URL

      http://www.yokohama-cu.ac.jp

  • [産業財産権] β-アミロイド前躯体蛋白質由来マトリックスメタロプロテアーゼ2インヒビターペプチドと組織メタロプロテアーゼ阻害物質との融合タンパク質2009

    • 発明者名
      東昌市
    • 権利者名
      公立大学法人横浜市立大学
    • 産業財産権番号
      PCT国際出願、No.PCT/JP2009/067320
    • 出願年月日
      2009-10-05
    • 外国

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi