研究課題
NEU3シアリダーゼは細胞膜のマイクロドメインに局在し、糖脂質ガングリオシドの脱シアリル化を触媒する。我々はNEU3がEGF受容体(EGFR)シグナル伝達の活性化に関与し、がん細胞の生存や運動能に影響を及ぼすことを見出している。本研究はこのNEU3によるEGFR活性化機構の解明を目的としている。活性化の機構としてガングリオシドレベルの変化とNEU3とシグナル分子間の相互作用の2つの機構を想定し解析を進めてきた。また活性化の構造的基盤としてNEU3のマイクロドメインへの局在が役割を果たしていると考え、局在に必要なNEU3ドメイン構造の特定も試みた。当該年度はNEU3ノックアウトマウスのガングリオシドレベルを測定した。野生型と比較して顕著な異常は観察されず、生理的条件下ではNEU3がガングリオシド代謝に関与していないことが示唆された。また酵母two-hybrid系によりNEU3と相互作用する分子のスクリーニングを行った。プルダウンアッセイで相互作用が確認された分子には細胞内輸送に関連する分子が含まれていた。EGFRの細胞内輸送とそれに続く分解過程がEGFRシグナル伝達系の調節に重要な役割を果たしていることが知られており、このシステムにNEU3が関与している可能性が新たに明らかとなった。NEU3の細胞膜局在に必要なドメインを同定するため、NEU3の推定細胞膜貫通領域に変異を導入した変異体を作製し、その細胞内局在を調べた。変異体も野生型同様細胞膜に局在することから、NEU3の細胞膜局在の機構として細胞膜貫通以外の機構、例えば他の細胞膜タンパク質あるいは細胞膜を構成する脂質との相互作用等を考慮する必要があることが示された。
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