研究概要 |
Periostinは細胞外マトリックス蛋白質の一つであり、Tenascin-C,Fibronectin,Collagen-V等の他の細胞外マトリックス蛋白質と結合することにより、種々のアレルギー疾患の病態の特徴である線維化等の組織的変化が生じる。Periostinはアレルギー疾患の中でも特にアトピー性皮膚炎発症に直接的に関係していることが最近明らかになっており、若年層のアトピー性皮膚炎の有病率が10数%にのぼり大きな社会問題となっている今日、Periostinは創薬の標的として注目を集めている。本申請研究はPeriostinの活性化機構を、その結合蛋白質といかなる量論的複合体を形成するかを明らかにし、さらにその立体構造決定を通じて理解することを目的としている。 平成22年前半は、ヒトPeriostinの全長体を昆虫細胞を用いて発現・調製した。調製した試料はゲル濾過クロマトグラフィーにより二量体状態であることが確認され、この試料を結晶化条件の検索に供した。平成22年後半はヒトPeriostinの機能領域(FASIドメインが4つ(Rl,R2,R3,R4)繰り返された領域)について、コンストラクトを計11種作製し、大腸菌発現系による大量発現に成功した。複数のFAS1ドメインを含むコンストラクトはいずれも不溶性画分(変性状態)として取得されたので、巻き戻し条件を検討し活性状態のヒトPeriostinの取得を試みた。その結果、機能領域全て(FAS1ドメインを4つ含むコンストラクト:RI-R4)の可溶性の試料を取得することができた。さらに連携研究者が取得している抗Periostin抗体の中からRI-R4に結合する抗体を選択し、抗体のFab領域と複合体状態で結晶化条件の検索を実施した結果、微結晶を取得することに成功した。
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