研究課題
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は、PKCや様々な酵素を活性化するジアシルグリセロール(DG)をリン酸化しフォスファチジン酸(PA)を産生する脂質キナーゼである。間接的にPKCを抑制しうるが、その生理機能については未だ不明な点が多い。その一方で、心臓や免疫系におけるDGKの重要性が最近報告されている。従って、DGKを作用点とする創薬の開発が望まれるが、現在DGKを作用点とする薬剤はほとんどない。そこで、本研究ではこれまでの研究に基づき、PKCとの機能協関を念頭におきながら神経系及び腎糸球体機能維持におけるDGKの役割を解明するとともに、将来的なDGKを作用点とするサブタイプ特異的薬剤の開発を目指している。本年度は、昨年に引き続き、作製したDGKβKOマウスの解析を行い、海馬及び大脳皮質において、神経突起の分枝数及びスパイン数が有意に減少するとともに、記憶障害が認められることを報告した(業績1)。また感情障害も認められ、この感情障害はリチウム処置により改善することが明らかになった(業績2)。これらのことから、DGKβはスパインといった神経細胞特有の形態を維持することにより神経ネットワーク形成、しいては記憶や感情などの脳高次機能において重要な働きをしていると考えられた。また、糖尿病性腎症に関しては、DGKαKOマウスを入手し、ホモ化までを行った。今後、ストレプトゾトシンを用いて糖尿病を誘発させ、その腎症の発症について野生型と比較する予定である。
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http://www2.kobe-u.ac.jp/~shirai/