研究課題/領域番号 |
21570143
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
徳光 浩 香川大学, 医学部, 准教授 (20237077)
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研究分担者 |
小林 良二 香川大学, 医学部, 教授 (00020917)
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キーワード | カルモデュリン / CaMKK / タンパク質リン酸化反 / Syndapin I / ATPアナログ / 変異体 / 自己リン酸化 / LC-MS/MS |
研究概要 |
細胞外からの刺激に応答した細胞内カルシウムイオンの濃度上昇は筋収縮、分泌反応、神経伝達物質の放出さらには遺伝子発現にいたるまで多元的に生理作用を調節する。本研究では、細胞内カルシウムを介したシグナル伝達における信号変換分子であるカルモデュリン(CaM)との新しい細胞内情報伝達機構を網羅的に探索、解析する。加えて、これらカルシウム受容分子によるタンパク質リン酸化、脱リン酸化反応の新たな機能制御についての個別解析を行い、カルシウムシグナル伝達の包括的なシステムバイオロジーの枠組みを明らかにすることを目的とした。本年度は、CaMの標的酵素の一つであるCaM-依存性リン酸化酵素、CaMKKの機能制御について検討した。その結果、CaMKK分子は細胞内において自己リン酸化していることが明らかとなった。また遺伝子改変酵素の解析から、CaMKK分子の自己リン酸化反応は分子間反応ではなく、分子内反応であることが判明した。そこでこの自己リン酸化アミノ酸残基をノーベル賞技術である質量分析法により同定したところ、Thr482であった。このThr482の自己リン酸化の生理的意義を解明する為にThr482をAlaに変異させたところ、自己抑制機能が強まるという結果を得、CaMKKの分子内自己リン酸化は本酵素の活性化メカニズムに大きく関与している事が明らかとなった。さらには、新しいCaMKKの基質分子探索を目的として、ATP類似化合物をリン酸基供与体として使用できるCaMKK変異体を作成した。この変異体を用いることで新規のCaMKK基質Syndapin Iを同定した。CaMKKは試験管内、培養細胞においてSyndapin IのThr355をリン酸化する事が明らかとなり、CaMKKを介した新しい細胞内カルシウムシグナル伝達経路の存在が示唆された。
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