ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は、生理活性脂質であるジアシルグリセロールとホスファチジン酸の細胞内濃度を調節し、細胞の生理機能を制御していると考えられている。哺乳類のDGKは現在まで10種類のアイソザイムのcDNAがクローニングされ、これらのアイソザイムはそのドメイン構造の違いから5つのサブグループ(1~5型)に分類されている。2型サブグループにはδ、η、Kアイソザイムが属しており、これらのアイソザイムはすべてのアイソザイムに共通の触媒ドメインと亜鉛フィンガーの他に、plecdstrin homologyドメイン、sterile α-motifドメインを持っている。そしてDGKδにはN末端の配列が異なる、DGKηにはC末端の配列が異なるスプライシングバリアントが存在する。これらの2型DGKが種々のシグナルタンパク質と結合することが報告されているRACK1 (receptor for activated C kinase 1)と結合することを見出したことから、2型DGK-RACK1複合体にさらに他のシグナルタンパク質が含まれているか質量分析計を用いて検討した。HEK293細胞に3xFLAG-DGKδ1単独あるいは3xFLAG-DGKδ1とRACK1の両者を発現させ、抗FLAG抗体を用いてDGKδ1の免疫沈降を行なった。さらに沈降物をSDS-PAGE、銀染色した後、ゲルを分割し、トリプシンによるゲル内消化を行なった。得られたペプチド断片をHPLCで分離した後、質量分析を行なった。検出されたペプチドからデータベース解析によりタンパク質の同定を行なったところ、RACK1の共発現の有無により同定されたタンパク質が異なっていた。現在、これらの結合タンパク質候補について再現性等の検討中である。
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