研究課題
本研究では、世界的規模で流行するIFVとDEVについて、ウイルス感染初期過程でウイルスと相互作用する受容体糖鎖分子に着目し、糖鎖機能制御プローブを利用して、ウイルス初期感染における宿主糖鎖機能を包括的に解明することにより、インフルエンザ(IFV)、デング(DEV)両ウイルスの感染機構および受容体糖鎖分子を介した宿主細胞応答の分子実体を明らかにする。平成21年度、以下の具体的な研究項目を実施した。なお、両項目の実施にあたり以下の連携・研究協力者と協同して研究を行った。1.宿主特異的受容体糖鎖分子の組織分布、局在性の解析トリIFV受容体糖鎖構造(NeusAcα2-3Gal)を認識する単クローン抗体を樹立した。この抗体を用いた糖鎖発現解析より、これまでトリ受容体の組織分布の解析に用いられてきた糖鎖特異性の低いMAMレクチンとは異なる発現結果が得られた。本抗体は、トリ受容体糖鎖に対して極めて特異性が高いことから、トリ受容体糖鎖分子の組織分布、局在性の解析によりIFVの異種間感染基盤となる受容体糖鎖分子の局在性を解明することが可能となった。DEV受容体候補糖鎖分子に特異的に反応する単クローン抗体を用い細胞表面糖鎖発現解析により、ウイルス感受性と当該糖鎖分子発現との相関性を明らかにした。2.異なる種由来のウイルスと宿主受容体糖鎖分子との相互作用の解析IFV種特異的に結合する糖鎖ポリマーを用いたウイルス-受容体糖鎖間相互作用解析法により、異なる種・異なる地域・異なる年代から分離されたウイルス株のヒト受容体およびトリ受容体糖鎖との相互作用を網羅的に解析した。その結果、近年分離されたヒトH3亜型臨床株のヒト受容体糖鎖に対する結合特性変化および受容体糖鎖との相互作用の変化にかかわるヘマグルチニン分子上のアミノ酸変異を同定した。
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