研究課題
脂肪細胞において、PGE_2とPGF_<2α>の産生はいずれも脂肪細胞の分化開始とともに上昇し、3時間後をピークとして急減し、以降はいずれも低い産生レベルであった。これらの産生レベルは、COX-2の発現パターンと類似しており、脂肪細胞においてPGE_2とPGF_<2α>の産生はCOX-2の発現レベルによって決まることが分かった。PGE_2とPGF_<2α>はEP4受容体およびFP受容体を介して、MEK/ERK経路を活性化し、-59に存在するCRE(cyclic AMP-responsive element)にCREBが結合することによりCOX-2遺伝子の発現が上昇することが分かった。さらに、これらの経路が活性化されることにより、PGE_2とPGF_<2α>の産生が増強されることが分かった。EP4受容体とFP受容体の特異的アゴニストおよびアンタゴニストを用いた実験から、PGE_2とPGF_<2α>による脂肪細胞の初期の分化の抑制は、それぞれ独立して起こるがその産生レベルの調節は協調して起こることが分かった。これにより、PGE_2とPGF_<2α>による脂肪細胞分化初期のポジティブフィードバックによる、脂肪細胞の分化を抑制するPGF_<2α>およびPGE_2の産生を増強し、強力に脂肪細胞の分化初期の進展抑制のための分子機構が解明された。また、PGD_2による脂肪細胞分化活性化機構の解析を行い、LC-MS解析から、脂肪細胞ではPGD_2ではなく、PGD_2の代謝物の一つであるΔ^<12>-PGJ_2がPPARγを介して脂肪細胞の分化を活性化することが分かった。動物を用いた解析では、PGD_2を過剰産生するマウスを作製し、PGD_2が肥満を促進することを明らかにした。一方、脂肪組織におけるPGD_2の機能を解析するために、脂肪細胞特異的プロモーターであるFABP4プロモーターにより脂肪細胞特異的にcre recombinaseを発現するマウスとflox/L-PGDSマウスを交配し、脂肪組織特異的L-PGDS遺伝子欠損マウスを作製し解析を開始した。
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