研究課題
Glycophosphoinositol(GPI)アンカー型蛋白質は、糖鎖を介して脂質と蛋白質が結合することによって形成される。私達はGPIが付加される蛋白質であるDally-like protein(Dlp)の測Aが核膜近傍の小胞体に局在することを見出した。本研究では、DlpのmRNAが核膜近傍の小胞体に局在することが、その遺伝子産物の機能に重要な役割を果たしているかを検討した。そのために、DlpのmRNAを、本来の領域以外の場所に局在させ、そこで翻訳された産物が正しい機能を獲得するかを検討した。まず、3'UTRを改変したDlp mRNAを発現させるキメラ遺伝子を作成し、そのキメラ遺伝子をもつトランスジェニックショウジョウバエを作成した。それらのキメラ遺伝子から転写されたmRNAの局在を調べたところ、本来の核膜近傍の小胞体とは異なる小胞体領域に局在することが確認できた。Dlp蛋白質を強制発現させると、正常な発生を阻害することがすでに知られている。そこで、私達が作成したキメラ遺伝子を用いてDlp蛋白質を強制発現させ、正常発生がどの程度阻害されるかを調べた。本来の核膜近傍の小胞体で翻訳されたDlp蛋白質は、強く正常発生を阻害したが、それ以外の小胞体で翻訳されたDlp蛋白質は、それほど強くは阻害しなかったという予備的実験結果を得た。このことは、Dlp蛋白質は、核膜近傍の小胞体で翻訳されること、言い換えると、Dlp mRNAの局在はその産物の機能に重要な役割を果たしていることを示唆している。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
J. Neurogenet
巻: vol.26 ページ: 53-63
DOI:10.3109/01677063.2012.661497
Rapid Commun. Mass Spectrom
巻: vol.25 ページ: 1617-1624
DOI:10.1002/rcm.5031